湯の印象 B 秘湯度  3
  『温泉宿に流れるBGM』
   もみじ川温泉から那賀川を下ると那賀川中流最大の町(といっても人口3500人)鷲敷(わじき)町に出る。古くは『四国霊場88番太龍寺』、新しくはカヌーをはじめとする那賀川でのレジャースポットとして、徳島県南部を訪れる人にもアピール度の強い町である。このまちはずれ、那賀川の名所『鷲敷ライン』で川が蛇行する郊外地に位置する温泉である。
   一見、営業しているのかどうか不安になる建物、古い温泉宿の空気満々のフロントもさることながら、その浴場は温泉としての年月を感じさせる風情があり、洗い場の窓からは鷲敷ラインの流れを眼前に眺めることができる。目立たないが、近年に町おこしのために画一的にリニューアルされて施設としての個性を失った温泉が多い中で、明らかに異彩をはなつオーラがある。
   何よりもその趣を醸し出しているのは、その館内に流れるBGM。このような温泉宿では昭和時代の歌謡曲がイメージされるのだが、私が訪れたときにはカンツォーネが流れていた。四国温泉88箇所の中でも、番台の民放ラジオから地域の民謡、有線放送のポップスからAKB、凝ったところでは癒しの環境音楽にいたるまで多種多様であるが、ひなびた温泉にこのパターンはここだけであった。
   浴場といい音楽といい、何かにつけて観光客の期待以上にいかにも「温泉らしくしている」全国の有名温泉地に比べ、地味ではあるがなにげなく自己主張している経年の自然体に四国の温泉の良さがあると再確認した次第である。
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  近くの名所 『四国酒蔵88箇所第21番 入鶴』 『四国堰堤88箇所第12番 川口ダム』
  
 
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「鷲敷町から国道195号線を高知方面に少し走った町外れの橋を渡る」 
鷲敷町から国道195号線を高知方面に少し走った町外れの橋を渡る 
 
 
 
「川沿いにたたずむ温泉(画像をクリックすると拡大します)」 
川沿いにたたずむ温泉(画像をクリックすると拡大します) 
 
 
 
「古くからの温泉宿であり宴会施設でもある」 
古くからの温泉宿であり宴会施設でもある 
 
 
 
「鷲敷町内の四国霊場21番太龍寺への大型ロープウェイ 西日本最長を誇り、晴れていれば紀伊水道も見える」 
鷲敷町内の四国霊場21番太龍寺への大型ロープウェイ 西日本最長を誇り、晴れていれば紀伊水道も見える 
 
 
 
「鷲敷町の那賀川では初心者用のカヌーも体験できる」 
鷲敷町の那賀川では初心者用のカヌーも体験できる 
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